迷いの正体に向き合うと、次の一手が見えてくる
「このまま今の会社にいてもいいのかな…?」
「でも、転職したからといってうまくいく保証もないし…」
20代後半という時期は、キャリアにおいて大きな分岐点になります。ある程度の経験を積んで仕事がこなせるようになる一方で、自分の将来にモヤモヤを感じ始めるタイミングでもあります。
私自身、新卒で外資系IT企業に入社し、現在はITコンサルタントとして働いています。新人育成や面接官として多くの若手のキャリア相談を受ける中で、「転職すべきか、今の会社で頑張るべきか?」という悩みは非常によく聞くテーマです。
この記事では、その判断に迷ったときに役立つ見極めの3つの視点と、具体的な行動指針についてお伝えしていきます。
なぜ、決断が難しいのか?
まず前提として、今の会社に明確な不満がない場合こそ、転職するかどうかの判断は難しくなります。
- 人間関係は悪くない
- 収入もそれなりに安定している
- 社内での立ち位置も確立しつつある
それでも、「もっと成長できる場所があるんじゃないか」「このままで将来大丈夫かな」という思いが頭の片隅にある。
この“漠然とした違和感”は、多くの人が経験するものです。
判断に迷ったときの見極めポイント3つ
ここからは、「転職すべきか、今の会社に残るべきか?」を見極めるための3つの視点を紹介します。感情ではなく、状況を冷静に整理することが重要です。
1. 成長の“天井”が見えているか?
まず最初に確認したいのは、「今の環境で自分がどこまで成長できるか?」ということです。
たとえば…
- これ以上スキルアップできる余地があまり感じられない
- 新しいチャレンジをしたいが、チャンスが回ってこない
- 数年後の自分が、今とほぼ変わらない姿であると想像できてしまう
こうした感覚があるなら、すでにその会社での成長の限界に近づいている可能性があります。
もちろん、全ての環境で「ずっと成長し続けられる」わけではありません。ですが、「学べることはまだある」と思える状態であれば、もう少し踏みとどまる価値があります。
重要なのは、「このまま3年働いたら、どんな状態になっているか?」をリアルに想像してみること。未来の自分がワクワクしていなければ、それは転職を検討すべきサインかもしれません。
2. 違和感が「一時的」なものか「構造的」なものか?
次に、自分が感じている不満やモヤモヤの性質を見極めてみましょう。
一時的な違和感の例:
- 繁忙期で疲れているだけ
- 上司との関係性に一時的なストレスがある
- 現在の案件が合わないだけで、環境全体は悪くない
こうした不満は、時間が解決してくれることもあります。異動やプロジェクトの変更で状況が大きく好転するケースもあるでしょう。
一方、構造的な違和感の例:
- 社風や価値観が自分と大きくズレている
- 評価制度が納得できない
- 会社全体の方向性に共感できない
これらは“変わる見込みが薄いもの”です。こうした違和感が積み重なると、仕事のパフォーマンスやモチベーションにも影響してきます。
自分のストレスの原因がどちらに分類されるか、一度冷静に棚卸ししてみることをおすすめします。
3. 転職後の姿が具体的にイメージできているか?
最後に、「転職した後、自分がどうなっていたいか?」という目的の解像度を確認しましょう。
- どんな業界・職種で働きたいのか
- どんなスキルを活かしたいのか
- 転職によってどんな変化を得たいのか
これらが自分の中でクリアになっていないまま転職してしまうと、結局またモヤモヤが再発することになります。
この見極めには、自己分析フレームの「Will/Can/Must」が役立ちます。
- Will:自分が本当にやりたいこと
- Can:自分ができること、強み
- Must:社会や市場に求められていること
この3点が重なる場所を見つけられたとき、転職という選択にも明確な意味が生まれます。
転職した方がいい人/今の会社で頑張った方がいい人
見極めを踏まえて、あえてシンプルに分類すると以下のようになります。
転職した方がいい人 | 今の会社で頑張った方がいい人 |
---|---|
成長の限界を感じている | 新しい挑戦のチャンスがある |
会社の価値観と根本的に合わない | 周囲に信頼されており裁量もある |
やりたい分野が明確にある | 今の環境で強みを伸ばせる余地がある |
迷っている状態でも、この表に自分を当てはめてみると、少し判断の材料が見えてきます。
私自身が“転職しなかった”理由
実を言うと、私も20代後半に「転職するか?」と何度も悩んだ時期がありました。
外資系にいながらも英会話に苦手意識が強く、「このままやっていけるのか?」という不安を抱えていたのです。
ですが当時は、「今の環境でやれることを全部やってみよう」と決めて、とことん挑戦しました。
結果的に、TOEICのスコアを上げたり、社内での役割が広がったり、面接官や育成担当としての経験を得たりと、大きな成長に繋がりました。
もちろん、それが正解だったかは今も分かりません。ですが、「自分で納得して選んだ道だった」という実感は、強く残っています。
それでも迷うときは、まず“動いてみる”
それでも決断できないときは、いきなり転職をする必要はありません。
むしろ、以下のような小さな行動から始めてみるのがおすすめです。
- 転職エージェントに相談してみる
- 他社の求人を「比較材料」として見てみる
- 信頼できる人にキャリアの悩みを話す
「話を聞くだけ」「情報収集だけ」でも、得られる視点は多くあります。視野が広がるだけで、今の会社にいる理由も、離れる理由も、よりクリアになるはずです。
まとめ:どちらを選ぶにしても、“納得感”が大切
転職するか、今の会社で頑張るか——これは、正解がある問いではありません。
重要なのは、「どちらの選択にも理由を持てるかどうか」です。
もし今の職場で「まだやれることがある」と思えるなら、それは残る価値があるということ。
一方で、「今のままでは未来にワクワクできない」と感じるなら、新しいステージを探すのもひとつの選択です。
キャリアは長期戦です。焦らず、丁寧に、自分の道を見極めていきましょう。
その過程で感じた迷いや不安も、きっとあなたの糧になります。