「このままでいいのかな」と感じたときに読む記事
「周りはどんどんキャリアアップしているのに、私はまだこの場所にいる」
「何かを変えたい気持ちはある。でも、何をどう変えればいいかが分からない」
20代後半になると、こうした漠然とした不安や焦りが、じわじわと心の奥に滲みてくることがあります。
社会人として数年が経ち、ある程度の経験値は積んだけれど、自分のキャリアに対してはどこか自信が持てない。
次の一手をどう打つか、決断できずにいる——そんな状態かもしれません。
私自身、新卒で外資系のIT企業に入社し、現在はITコンサルタントとして働いています。
面接官や新人育成の役割を担う中で、20代後半に差しかかる多くの若手社員と向き合ってきました。
彼らが抱える「焦り」はとてもリアルで、時に深く、そしてとても人間的です。
この記事では、その焦りを否定することなく受け入れながら、「では、どう向き合っていけばいいのか?」という3つの視点をお伝えします。
なぜ20代後半に“焦り”が生まれるのか?
まずは、「なぜ焦るのか」を客観的に整理してみましょう。焦りの正体を理解せずに転職やキャリアチェンジをしてしまうと、軸のない選択になってしまうリスクがあります。
1. 「20代で何かを決めなきゃ」という思い込み
多くの人が、20代後半になると“将来”に対する意識が急に強くなります。特に27〜29歳という年齢は、「今のうちに動かないと後悔するかも」と感じるタイミングです。
これは社会的にも自然な流れです。
転職市場では「20代=ポテンシャル枠」というイメージが根強く、30歳を超えると企業側の期待値も変わってきます。
「このまま今の会社に居続けていいのか?」「他にもっと成長できる環境があるのでは?」と、未来に対しての“漠然とした不安”が焦りに変わるのです。
2. SNSによる“比較の罠”
かつては「他人のキャリア」は身近ではありませんでしたが、今は違います。
X(旧Twitter)やLinkedIn、Instagramには、同世代の転職・昇進・独立の報告が次々と流れてきます。
「元同級生が年収1000万プレイヤーに」
「大手から外資に転職してリモートワーク満喫中」
そんな投稿を目にするたびに、「自分は何をしているんだろう」と落ち込んでしまう。それもまた、焦りの温床となります。
ただ、それは“見える部分”でしかありません。キラキラした転職の裏にある葛藤やプレッシャー、職場とのミスマッチは、SNSには映りません。
他人の成功に見えるものは、“プロセスの途中”かもしれないのです。
3. やりたいことがわからない
一番厄介なのは、「転職したい」と思いつつも「何がしたいのか分からない」状態。
これは非常に多くの人が抱えている悩みです。
実際、私も20代の頃、「ITコンサルとしてこのまま突き進むべきか?それとも別の専門性を掘り下げたほうがいいのか?」と何度も自問しました。
この状態にあると、「焦って行動しなきゃ」という気持ちと「でも何をすればいいのか分からない」という思考停止の間で、身動きが取れなくなります。
焦りと付き合うための3つの視点
ここからは、「焦りをどう扱うか」という視点で、実践的な考え方を3つ紹介します。
重要なのは“問題解決”のための道筋をしっかりと描くことが大切です。
視点①:焦りは“行動の種”である
まず大前提として、「焦り=悪」ではありません。
焦りがあるということは、「今の自分に違和感がある」「何かを変えたい」という前向きなサインでもあります。
私自身、入社当初はTOEIC700で、外資系にいながらも英語に対して強い苦手意識がありました。
それでも「変わりたい」という思いで、少しずつ英語に向き合い、今ではTOEIC900まで伸ばすことができました。
正直、いまだに英会話には自信がありません。それでも、あのときの焦りがなければここまで努力することもなかったと思います。
焦っている自分を否定せず、「変わりたいと思っているから焦るんだ」と、感情の裏にある動機を読み解いてみましょう。
視点②:「自分の軸」を可視化する
焦って行動を起こす人ほど、「何を大事にして働きたいか」という軸が曖昧になっていることが多いです。
軸のない転職は、再びモヤモヤを生むリスクが高い。
そんなときこそ、自分を客観視するために「Will/Can/Must」のフレームを使ってみてください。
- Will(やりたいこと):どんな仕事に情熱を感じるのか
- Can(できること):自分の強みや実績、スキルは何か
- Must(求められること):社会や市場が求めているスキルや役割
この3つの交差点に、自分らしいキャリアのヒントが眠っています。
視点③:他人との比較をやめ、「昨日の自分」と比べる
焦りの多くは、他人との比較から生まれます。
ですが、他人の成功はその人の戦略・環境・タイミングが重なった結果であり、自分にそのまま当てはまるわけではありません。
私が新人教育を担当していてよく感じるのは、「成長している人は、他人ではなく“自分自身”を評価軸にしている」ということです。
- 昨日より理解度が上がった
- 半年前より業務の幅が広がった
- 失敗を次に活かせるようになった
こうした「微差」を積み上げる人こそ、最終的に大きな差を生みます。
他人との比較は終わりがないゲームです。だったら、比較の相手を「過去の自分」に変えてみましょう。
それでも焦るときはどうする?
どれだけ理屈で納得しても、感情が追いつかないこともあります。そんなときは、少し立ち止まって以下を試してみてください。
- SNSを意識的に遮断する
→ 情報のシャワーから距離を取ると、自分の本音に気づけるようになります。 - 信頼できる人に話す
→ 思考が整理され、「意外と大丈夫かも」と思えることもあります。 - 転職エージェントに“相談だけ”してみる
→ 無理に動かなくても、情報収集として利用するのは有効です。
最後に:焦りを前進のエネルギーに変える
焦ってしまうのは、悪いことではありません。
その感情の奥には、「このままじゃ終わりたくない」「もっと良くなりたい」という意志があるからです。
それに気づけたあなたは、すでに次のステージへの第一歩を踏み出しています。
自分を責めるのではなく、自分の声に耳を傾けること。
そして、焦りを行動のエネルギーに変えていくこと。
それが、20代後半の今、あなたにできる最善の選択です。
焦ってもいい。立ち止まってもいい。大事なのは、前に進み続けようとする意志です。